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2005.03.25 コラム一覧に戻る
使いこなそう、個人情報保護法@
1, 個人情報保護法の立法化の意味付け〜レセプト開示請求訴訟の経験から

(1)レセプト(診療報酬明細書)って、ご存じでしょう。入通院の患者一人ひとりについて、どのような治療をし、医療費がいくらかかったかを1ヶ月毎に1枚の紙にまとめたもので、病名、検査名、薬剤名、措置名、それぞれの治療の回数・数量・単価など自分が受けた治療に関する医療情報の全てが記載されています(勝村久司「レセプトを見れば医療がわかる」2頁)。医療情報の開示に関連して、このレセプトの開示請求訴訟に取り組んだことがありますので、個人情報保護法の内容に立ち入る前に、この問題について少し触れておきたい思います。

(2)産科事故で子供を失った兵庫県の夫婦が、病院の医療行為に疑問を持ち、自分のレセプトの開示を公文書公開条例に基づいて兵庫県(社会保険事務所)に請求しました。平成5年9月のことです。これに対し、県はレセプト「個人情報」であるとして公開(開示)を拒否しました。そもそも個人情報が非公開とされる理由は情報主体たる本人のプライバシー保護にあるのだから、情報主体本人が公開を請求する場合は公開を拒む理由はないはずです。
そこで、公文書公開審査会に対して異議申し立てをしたのですが、公開審査会も非公開決定は妥当であると判断しました。平成6年5月、神戸地裁に非公開決定の取消を求める裁判を提起しましたが、神戸地裁も県の判断を追認しただけでした。
 しかし、自分が受けた医療行為に関する情報の公開(開示)を本人が求めているのに、それが個人情報であるという理由で開示が拒否されるのはどう考えても納得できるものではありません。そこで、大阪高裁に控訴したところ、大阪高裁は平成8年9月27日、一審判決を取消し、開示を認める逆転勝訴判決を下しました(平成8年度重要判例解説9)。兵庫県はこれに対して上告したのですが、最高裁は平成13年12月18日、上告を棄却し、大阪高裁の判断を支持しました(平成13年度重要判例解説50頁)。

(3)これが「公文書公開条例による本人開示請求」の問題で、情報公開制度と個人情報保護の関係をどう考えるかに絡む複雑な論点なのです(前記平成13年度重要判例解説50頁、法学教室97年6月号32頁、棟居快行「憲法フィールドノート」147頁参照)が、ともかく、裁判により、本人に開示請求権があることが確認されました。
しかし、あまりに時間がかかり過ぎました。県にレセプトの開示請求したのが平成5年9月です。平成8年9月の高裁判決までに3年間、平成13年12月の最高裁判決に至っては8年半という時間が経過しています。当時、兵庫県には個人情報保護条例が制定されておらず、公文書公開条例しかなかったのですが、仮に当時、個人情報保護条例があったとすれば、早期に開示されていたはずです。開示請求の根拠が明文化された形で存在する場合には比較的容易にないしは原則的に開示が認められますが、そうではない場合には相手方が開示を争えば、上記のように裁判によって請求権の存在を確認することが必要となるのであって、場合によっては最高裁の判断を待たなければならないことになるのです。

(4)本年4月から施行される個人情報保護法については問題点も指摘されてはいますが、ともかくもそれまで明文のなかった民間部門の個人情報開示義務等が明文化された意味は極めて大きいものがあると考えます。

(内橋一郎)

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