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2016.05.02 コラム一覧に戻る
5月29日から、改正保険業法の施行が始まる

                                         弁護士 内橋 一郎


1. 改正保険業法の施行がいよいよ5月29日から始まります。
改正保険業法の概要については、以前にもこのコラムで触れていますが、
  施行に当たっての重要ポイントを何回にわけて紹介したいと思います。
   今回は情報提供義務について紹介します。

2. 顧客への情報提供義務
従前は、保険契約の契約事項のうち、重要事項を告げない行為の禁止という形で情報提供義務が定められていましたが、今回の改正で、情報提供義務が正面から規定されることになりました。
情報提供の主体については、従前の禁止規定による場合と変りません。
保険契約を締結し、保険の引き受けを行う主体である保険会社等、または保険募集を行う保険募集人、保険仲立人が情報手協義務を負います(保険業法294条1項)。
保険契約の締結または保険募集の場合に情報提供義務が課されるのは従前と同じであり、団体保険について新たに情報提供義務が課されることになりました。

3. 対象事項、説明方法について
従前、保険契約の契約事項のうち、重要事項を告げない行為が禁止され、これを受けて監督指針で、保険商品の内容を理解する上で、必要な情報である「契約概要」と注意喚起すべき情報である「注意喚起情報」を顧客に対し書面で告げることとされ、どのような事項が該当するかが定められていた(従前の監督指針)。今回、書面で説明すべき事項も基本的に踏襲することになりました。
もっとも異なる点もあります。
従前、禁止規定により情報提供すべきとされていたのは、保険契約の契
約条項のうち重要な事項であり、契約事項ではない事項は情報提供の対
象とはされていませんでした。今回の改正では、保険契約のその他保険
契約者等に参考になるべき情報を提供することとされ(294条1項)、保
険契約の締結の判断に参考となるべき事項も説明すべき事項となりまし
た(保険業規則227条の2第3項2号)。例としては、保険契約と関連性
が強い付帯サービスに係る事項、例えば、自動車保険の付帯サービスとし
してのロードサービス(レッカー牽引サービス等)に係る事項等です。
ただし、このような事項は書面による説明は不要とされています。
従前、契約概要、注意喚起情報とされていなかった事項で、新たに書面説
明すべき事項とされたものとして、直接支払サービスに関する事項があり
ます。従前から、生命保険、傷害疾病定額保険における現物給付を認める
かどうかの是非について議論があったのですが、今回の改正でも見送りに
はなったのですが、保険会社が特定の財・サービスを顧客に紹介し、顧客
が提携事業者からの財・サービスの購入を希望した場合に、保険金を受取
人ではなくその事業者に代金として支払う「直接支払サービス」が認めら
れました。注意すべき点は、直接支払サービスでは保険金額の場合であっ
て、業者の提供する財・サービスが価格上昇していた場合は十分な財・サ
ービスの提供が受けられない可能性がある点である(かかる場合には、保
険金受取人は現金による保険金支払方法を選択することができる)。
情報提供が不適切であれば、提携事業者が提供する提携事業者の提供する
財・サービスの内容に惹かれて保険契約を締結したが、実際には思う様な
サービスを受けられなかったという事態が起こり得るのであり、情報提供
が重要であることから、説明を行う場合は書面ですべきこととされた(保
険業規則227条の2第3項5号)。

4. 私法上の説明義務との関係
取締法規である業法上の義務と私法上の義務とは別であるとするのが伝統的理解ではあるが、取締法規で違法とされることは私法上の違法性を判断する上で重要な要素となることは否定できないであろう。
もっとも保険業法による情報提供はかなり広範な事項が対象となっていることから、私法上の説明義務の対象となる事項は独自の基準で絞り込まれるべきであるとの見解もあるが、私法上の説明義務は最終的には、個別具体的な事情から判断されるので、保険業法上の情報提供義務の方が私法上の説明義務より常に広いとは必ずしも言えないと考える。
以上
(参考)ジュリスト1490&#821214(山本哲生)

以上

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