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2016.05.06 コラム一覧に戻る
【保険業法改正施行A〜顧客の意向の把握義務】
【保険業法改正施行A〜顧客の意向の把握義務】
                                            弁護士 内 橋 一 郎

1.  保険会社等の顧客の意向確認義務については、法律上の根拠としては、内閣府令に基づき保険会社等の体制整備を求める保険業法100条の2、社内規則の制定を求める同施行規則53条の7第1項、また「保険会社向けの総合的な監督指針」に基づき、意向確認書制度として実施されていた。今回の法制化は、金融審議会・保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキンググループ報告書に基づき、そこで示された、保険募集の全体に通じる基本的なルールを保険業法に法律で明確に定める基本方針に沿って根拠規定を設けることにしたものである。

2.  意向把握義務の概要
 改正法294条の2は、保険会社、保険募集人又は保険仲立人は保険契約者の保護に欠けるおそれがないものとして内閣府令で定める場合を除き、保険契約の加入させるための行為として、@顧客の意向を把握し、Aこれに沿った保険契約の締結等を提案し、B当該保険契約の内容を説明し、C保険契約の締結等に際しての顧客の意向と当該保険契約の内容が合致していることを顧客が確認する機会の提供を行わなければならない旨規定する。
 旧ルールでも、顧客の意向確認は求められていたが、現実の勧誘面では、既に募集人が保険商品の推奨理由を記載した書面を顧客に交付するというような形だけのものが多数存在していたという消費生活相談の現場の声等を反映させ、原則規定を設けたものである。
 旧監督指針では、意向確認は、特に顧客のニーズを確認する必要性が高いと考えられる第一分野(生命保険)と第三分野(傷害・疾病保険)の場合に適用され、第二分野(損害保険)は社会規則に委ねられていたが、改正294条の2は、このような適用可能性で区別をしなかった。

3.  意向確認義務の具体的内容
 ワーキンググループ報告書は、意向確認の具体的手法を監督指針に委ねたが、これは画一的方法を強制することで、意向確認が形式化する恐れがあるからである。
 監督指針は、標準的手法として、意向把握型、意向推定型、損保型を挙げている。
 意向把握型とは、保険金額や保険料を含めた当該顧客向けの個別プランを説明する前にアンケート等により顧客の意向を把握し、その上で意向に即した個別プランを提案し、プランと意向の対応関係を説明するというものである。
 意向推定型とは、保険金額や保険料を含めた当該顧客向けの個別プランを提案する都度、保険会社又は募集人が、どのような意向を推定(把握)してプランを設計したのかの説明を行い、当該プランにつき、推定された意向との対応関係を説明する方法である。
 この2つは、第一・第三分野に向けられたものである。
 いずれの場合も、最終的な顧客の意向が確定した段階において、その意向と保険会社が把握している顧客の主な意向を比較し、両者の相違が生じた経緯を分かりやすく説明しなければならない。この当初意向と最終意向との比較説明を「振り返り」という。
 損保型とは、第二分野の場合を想定したもので、主な意向、情報を把握した上で、個別プランの作成、提案を行い、主な意向と個別プランの比較を記載すると共に保険会社又は募集人が把握した顧客の意向と個別プランの関係をわかりやすく説明することが求められる。意向把握型、意向推定型との違いは、振り返りが不要とされていることである。
                                                     
(参考−ジュリスト1490&#821220 木下孝治)

以上

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