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2016.05.10 コラム一覧に戻る
【最近の医療過誤判例から】@
【最近の医療過誤判例から】@ 
               
                                           弁護士 内橋 一郎
1.  抗不整脈剤であるアンカロンの副作用により薬剤性間質性肺炎に罹患し死亡した患者について医師の責任が認められたケース(大阪地判26年9月1日、判時2285&#821288)
≪事案の概要≫
 Yクリニックで抗不整脈剤を継続的に受けていたA(昭和9年生まれ)が、薬剤性間質性肺炎に罹患し死亡。Aの妻Xが損害賠償請求。
≪争点≫
@ Aはアンカロンの服用によって、薬剤性間質性肺炎が増悪して死亡したか。
A Yは、どのような注意義務を負っていたか。
≪裁判所の判断≫
(1)@について
  (ア)アンカロンは、アミオダロンを成分とする薬剤であり、他剤が無効な致死的心
     室性不整脈、肥大型心筋症に合併した心房細動には適応があるが、薬剤性間質
     性等の致死的な副作用がある。
(イ) アミオダロンの積算量が101~150になると、薬剤性間質性肺炎の発症頻度が高
いとの報告がある。
  (ウ)アンカロンを長期投与した場合、アミオダロンの消失減期が極めて長く、アン
カロンを中止しても副作用が直ぐに消失しない。
  (エ)アンカロンの添付文書には、アンカロンを投与するに際して、投与前、投与開
始後1か月、投与中3か月毎に胸部X線検査、胸部CT検査等に加えて、各種
臨床検査、眼科検査を行うことが望ましいとされている。
  ⇒ Aは、アンカロンを継続的、長期間服用しており、H21年6月4日の時点には146g
    のアミオダロンが蓄積し、薬剤性間質性肺炎に罹患していた。     
(2)Aについて
   上記知見から、アンカロンを服用している間は数か月に一度程度、X線検査や血液検
   査等の定期検査を行う義務がある。


2.  分娩を担当した医師が、吸引分娩、クリステレル胎児圧出法を実施したところ、出生2日目に死亡したことにつき、医師に過失があるとされたケース(山口地判27年7月8日、判時2284&#821299)
≪事案の概要≫
 Xは午前4時45分、自然破水し、定期健診を受けていたY医院を受診。Y医師は、午後2時から2時30分迄Xに対し、クリステレル胎児圧出法を行いながら、吸引分娩及び鉗子分娩を施行したが、児頭の位置は変らなかった。Y医師は、吸引分娩及び鉗子分娩によっても、児頭の位置は変らないことから、回旋異常による分娩進行停止と判断。Y医師は、搬送依頼し、午後3時28分に大学病院に搬送され、帝王切開で分娩が行われ、XはAを娩出したが、Aは翌日死亡するに至った。
≪争点≫
@ Y医師の措置は適切であったか。
A Yの過失とAの死亡との相当因果関係
≪裁判所の判断≫
(1)@について
   硬膜下麻酔、吸引・鉗子分娩という手順を、その時点での児頭の位置及び胎勢を十
   分確認せず、また吸引、鉗子のどちらかがより適切かの検討も不十分なまま実施し、
吸引分娩で直ちに児頭が下降しないことについて次の手技の適応如何の検討もせず、
鉗子分娩に取り掛かり、結果として、直ちに下降しない児頭に対し各手技を複数回
実施すると共に看護師2人をしてクリステレル胎児圧出法を実施して、胎児に過重
な力を加えた過失がある。
(2)Aについて
   鑑定の結果によれば、Yあるいはその指示による、吸引・鉗子分娩及びクリステレル
圧出法により、胎児は帽状腱膜下血腫を発症し、それにより、急性出血性ショック
を来し、重傷新生児仮死状態となり、多臓器不全で死亡したということができるか
ら、相当因果関係がある。
                                                     

以上

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