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2005.03.25 コラム一覧に戻る
使いこなそう、個人情報保護法B
3,個人情報保護法によって何が可能になるのか〜使いこなそう個人情報保護法

(1)上記の規定の内で、個人自らが自己情報をコントロールする方法として、「個人情報の開示、訂正」等が重要です。
 以下では、個人情報保護法等により、情報主体である個人にどのようなことが可能になるのかをいくつかのケースにつき、検討してみます。

(2)カルテ、レセプト等の医療記録の開示請求
 カルテ、レセプト等の医療記録の開示ができます。
国立病院の場合は行政機関個人情報保護法に基づき、開示請求をすることができます。また独立行政法人による病院の場合は、独立行政法人等個人情報保護法に基づく開示請求になります。県立病院、市立病院等地方公共団体が設立した病院の場合は当該地方公共団体が制定した個人情報保護条例に基づく開示請求権があります。
 これに対して、民間病院の場合は個人情報保護法に基づく開示義務が医療記録開示の直接の根拠になると考えます。個人情報保護法は個人情報取扱業者の義務という体裁で規定されていますが、取扱業者の義務を規定した趣旨が情報主体の個人情報の保護にあることからして、個人情報保護法の規定は単なる行政法規ではなく、裁判規範性を有する実体的な請求権を確認した規定であると解すべきです。

(3)顧客勘定元帳等の取引記録の開示
証券取引や商品先物取引等の顧客勘定元帳等取引記録の開示は委託契約による開示請求権という構成によっても当然可能だと考えますが、個人情報保護法を直接の根拠とする開示請求もできると考えます。
 また貸金業者と顧客との間の取引履歴も、やはり顧客の個人情報ですから、個人情報保護法に基づく開示義務があると考えます。
 上記の取引記録の開示を顧客から求められた場合に業者がこれを拒否する理由は見出せないと考えます。

(4)信用情報の開示・訂正等
信用情報とは、信販会社等の金融機関が顧客に対して与信する場合に顧客の信用状態を把握するために使用する個人情報をいいます。信販会社等取引時に取得した信用情報はシー・アイ・シー等信用情報機関に集められ、管理されます。 ある信販会社で延滞事故があった場合には信用情報機関に連絡され、他の信販会社でクレジットカードを使おうとしても使えないことがあります。
 思い当たるふしがないのに、クレジットカードの使用を断られたような場合には信用情報機関に信用情報の開示を求め、誤った情報が記載されている場合(例えば延滞がないのに延滞情報ありとされている場合)には訂正等を求めることが可能です。

(5)まとめ
、いくつかのケースにつき、個人情報保護法の利用について検討してきました。既に述べたように、個人情報保護法等がなくても、個人情報の開示・訂正等ができたケースはありましたが、明文がないためにスムーズに開示が進まなかったり、あるいは時間がかかりすぎたケースも多かったと思われます。
 この点、個人情報保護法で明文化されたことにより、よりスムーズに開示等が行われることが期待できるのですが、そのためには多くの人たちがこの制度を利用し、普及していくことが重要であると考えます。せっかくできた制度ですので、「使いこなそう、個人情報保護法」のかけ声のもと、積極的に利用していきたいと考えます。

(内橋一郎)

以上

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