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2020/6/7 コラム一覧に戻る
改正相続法と配偶者保護A〜持ち戻し免除意思表示推定規定
弁護士 内橋一郎


1.  持ち戻し免除の意思表示の推定規定の趣旨
 被相続人が共同相続人に対して遺贈または一定の生前贈与を行っている場合、特別受益とされ、その分は相続財産に含めて相続分を算定し特別受益分を差し引いた残額が具体的な相続分になるのが原則で、特別受益分を加えて相続財産として評価することを持ち戻しといいます。ただし、被相続人がそうしない旨(持ち戻し免除)の意思表示をしていたときは特別受益とされません。
 改正相続法は、上記の持ち戻し免除に関して、従前の規定を一歩進めた推定規定を設けました。すなわち婚姻期間が20年以上の夫婦の一方(たとえば夫)が他方(妻)に対して、居住用不動産を遺贈・贈与したときは、その贈与についてが、持ち戻ししない旨の意思表示をしたものと推定する旨の規定を新設したのです。婚姻期間が20年以上の夫婦において居住用不動産を贈与等する場合はそれまでの配偶者の貢献に報いるとともにその生活保障を図る目的であることが多く、遺産分割で配偶者の取り分を減らす意思がないのが通常であると考えられるからであると説明されています。

2.  適用の要件
(1)  持ち戻し免除の意思表示の推定規定は、(ア)婚姻期間が20年以上の夫婦であること、(イ)夫婦の一方が他方に対し遺贈または贈与したこと、(ウ)居住用不動産を遺贈・贈与したことが要件とされています。
(2)  婚姻期間が20年以上とする場合の基準時は、遺贈・贈与があった時点をいいます。したがって相続時は20年経過していたが遺贈・贈与時には20年経っていなかった場合にはこの推定規定自体は適用がないことになります。
 けれど、遺贈または贈与の動機等の事情を考慮して、持ち戻し免除の意思表示があったと解される場合も考えられます。
(3)  婚姻期間が20年以上の計算に関連して、たとえば婚姻後15年で離婚したが、その後再婚して5年以上経過した場合はどうなるのかという問題があります。
 この点については通算して20年以上であればいいという見解があります。
(4)  居住用不動産は夫婦がともに居住していることが必要かという議論もあります。
 この規定の趣旨が配偶者の老後の生活保障にあることから、配偶者にとっての居住を考えるべきと解されています。

(参考文献)Q&A改正相続法のポイント

以上

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