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2007.03.29 コラム一覧に戻る
高齢者の入浴(溺死)事故と傷害保険における外来性要件A
1,  平成17年12月21日付けコラムで、高齢者の溺死事故に関する大阪高裁平成17年12月1日判決を紹介したところ、多くの反響があり、全国各地から問い合わせがありましたが、同判決がこのたび判例時報1944号(平成18年12月1日号)に掲載されました。
  コラムに対する反響が多くあったということは、全国各地で、高齢者の溺死事故に関して、保険会社の支払拒否例が多数存在していたことを意味しますので、再度この問題を取り上げたいと思います。

2,  法的な論点についてはコラムで詳しく述べましたが、大阪高裁判決以前にも、重要判例としては、否定例としての福岡高裁平成8年4月25日判決(判例時報1577号126頁)と肯定例としての名古屋高裁平成14年9月5日判決(最高裁ホームページの「下級裁主要判決情報」)がありました。
  しかし、判例時報等公刊されている判例雑誌では、否定例の福岡高裁が掲載されている程度でした(名古屋高裁判決は、最高裁のホームページの「下級裁主要判例情報」で入手することはできます)。学説的にも「入浴中の溺死事故のごとき事例は日常生活で通常行われている入浴の中で疾病による発作が生じてそれをもっぱらの原因として溺死しているのであるから、傷害保険に基づく保険給付としては不適切」との見解(山下友信教授「保険法」482頁)が有力に主張されております。
  保険会社は、訴訟において、判例雑誌や文献を引用し、否定説があたかも確定的な見解かのごとき主張をしてきました。
  おそらく、訴訟外の保険金請求では、同様な理由での支払い拒否例が多数存在していたのではないかと推測されます。

3,  しかし、名古屋高裁平成14年判決は「溺死は環境的な要因に基づくものであり、何らかの原因意識障害が生じて、溺死に至った場合もあるが、意識障害で伏せった場所が浴槽内でなければ死亡しなかった場合には、外来的な原因によるものであることを左右するに足りる事情が認められない限り、保険金請求を認容すべき」とする判断を示しました。
  次いで大阪高裁17年判決は「保険金請求者は直接死因が身体の外部にあることを立証すれば、その間接的な原因については身体の内部にあることが明らかではないことを立証すれば足りる」としました。
  さらに、地裁レベルでも、大阪地裁平成18年6月30日判決(一審にて確定、判例集未掲載)が「浴槽内で溺れた原因について、内因性の疾患に起因する意識障害が先行し、その結果、顔が水中に没したことをうかがわせる事情がないときは、死亡は外来性のものと推認することができる」としています。
  それぞれ、ニュアンスこそ、少し異なりますが、基本的な方向は同じです。
  そうすると、これまでは、否定説が有力のように見えたのですが、この3つの判例によって、流れが変わってきたということができると思います。

4,  冒頭で、大阪高裁判決が判例時報に掲載されたことを述べましたが、誰の目にも見える形になったことは実務的に重要だと思われます。
  そしてさらに言えば、判例雑誌等に掲載されない判例を集積していくこともまた大切だと考えます。

(内橋一郎)

以上

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