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2007.05.07 コラム一覧に戻る
“ロコ・ロンドン金取引”にご注意!
1,“ロコ・ロンドン金取引”による被害が昨年頃から急増しております。
 国民生活センターは「新手の投資話ロコ・ロンドン金に注意!」という警告をHPに掲載し、70才〜80才の高齢者が取引の仕組を理解できないまま、100万円以上の高額なお金を投資、トラブルに巻き込まれているケースが多くみられるとしています。また我々弁護士のところにも“ロコ・ロンドン金取引”によって被害を受けたという相談が増えており、短期間に数百万円の被害を受けたという相談例もあります。
 ロコ・ロンドンのロコとは本来は受渡場所という意味で、金の現物取引において受渡場所をロンドンにすることを条件としたときの価格(つまり輸送費や保険料を含まない取引価格のこと)をロコ・ロンドン価格(ちなみに、東京での受渡を条件とした価格をロコ東京価格といって、ロコ・ロンドン価格に輸送費等が上乗せされます)といい、この価格での取引をロコ・ロンドン取引と呼びます。ロコ・ロンドン取引は金現物の世界標準になっています。
 これに対し、問題となっている“ロコ・ロンドン金取引”は業者が提示するロコ・ロンドン価格を差金決済指標とする差金決済取引であって、顧客が証拠金(保証金)を預託して行う投資商品として勧誘・販売されているもので、その実態は顧客と業者がそれぞれ互いに契約当事者となって金銭の得喪を争うデリバティブです。現実にロコ・ロンドンにて金現物が買い付けられているわけではなく、あくまで差金決済の指標としてロコ・ロンドンが用いられているだけです。
 すなわち顧客は、業者に対して、ロンドン渡しの金現物100トロイオンス(1トロイオンス=31・1035グラム)を1取引単位とする最低取引単位あたり50万円の証拠金または保証金を支払ってロンドン渡しの金を売買したと同様の差金決済を行う地位を取得し、任意の時点で当該地位(ポジション)と反対売買をすることによって差金決済を行うものです。また顧客は取引を行うことにより1取引単位あたり1日数百円のスワップと称する金利を受け取ることができるとされています。

2,“ロコ・ロンドン金取引”はとても危険な取引ですので、一般の方は勧誘されても手を出さない方が無難です。
 すなわち第1に、証拠金取引ですので、実際には拠出したお金の十数倍から数十倍の取引をしていることになりますので、少し価格変動ないし為替相場の動きでも大きな損を被る可能性があります。
 第2に、金の現物取引ではありませんので、金の延べ棒が手に入るわけではありません。また(スワップ)金利が入るといっても、金の価格の変動によってその分の利益など消し飛んでしまうことがあり、預貯金のようなものでもありません。
 第3に、“ロコ・ロンドン金取引”には直接の規制法がなく、許認可制でもないので、問題のある業者が参入してきているようです。かつて外国為替証拠金取引において、業者が荒稼ぎをして姿をくらますケースが多発し、多大な被害を生み出しましたが、“ロコ・ロンドン金取引”も同様の危険があります。実際、外国為替証拠金取引業者の構成員であった者が“ロコ・ロンドン金取引”に参入してきているというような話しも聞きます。

3,すでに取引をして多額の損失を被った方、あるいは現在取引中の方は弁護士に相談されるのが望ましいと思います。
 業者に対して支払った預託金の返還を求める法律構成としてはいくつか考えられますが、@“ロコ・ロンドン金取引”は、相場の変動という偶然の事情により財物の得喪を争う行為であって、刑法上の賭博罪に該当する、A相場による差金決済取引も法令により許容される場合には「法令行為」として違法性が阻却されますが、“ロコ・ロンドン金取引”はそのような法令もなく、正当業務行為として認める事情もないことから、刑法上違法であり、私法上も公序良俗違反を構成する、Bしたがって、顧客は業者に対して不当利得返還請求が可能であるとの考え方がわかりやすいと思います。

4,この数年だけでも、外国為替証拠金取引、未公開株、そして“ロコ・ロンドン金取引”と、あやしげな業者による新手の投資話が次から次へ出てきますが、あやしげな業者であればあるほど逃げ足も早いということが言えます。預託金返還請求(損害賠償請求、不当利得返還請求)をしようにも業者に雲隠れされてしまってからでは手の打ちようがないケースが多いのが実情です。被害を受けた方、取引を始めたものの、どうしようかと悩んでいる方は早めに弁護士会に相談に行かれた方がよいと思われます。
                                                                   以 上

(参考)
・国民生活センターHP:新手の投資話「ロコ・ロンドン金」に注意!
・日本弁護士連合会「ロコ・ロンドン金取引」商法の被害に関する意見書
・あおい法律事務所HP:「ロコ・ロンドン貴金属取引」

以上

弁護士内橋一郎
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