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2007.08.06 コラム一覧に戻る
先物取引訴訟におけるストラテジー
1,先物取引訴訟に携わるようになって10数年になります。この間、先物取引被害研究会や先輩弁護士から教わったこと、また自分なりに考えたことがあります。
 先物取引訴訟におけるストラテジーというと大げさになりますが、私がいま先物取引訴訟において心掛けていること、あるいはできるだけそうしたいと考えていることについてすこし書いてみます。

2,証拠保全
 「証拠保全」は、通常は訴訟を提起する前において、相手方の持っている証拠をあらかじめ保全する手続をいいます(起訴後の証拠保全もありますが、ここでは起訴前のものに絞って書きます)。
 先物取引訴訟においては、被告となる商品取引員の側から、裁判が始まってから、取引に関連する種々の証拠が提出されますし、また委託者の側からも必要な証拠の提出を求めることもあります。  
 裁判を始める前に、相手方の持っている証拠を保全することの意味は、1つには、裁判をするかどうかを決める上で、どうしても必要な証拠が手元になく、それを手に入れるために必要なケースがあろうかと思います。
 また訴訟提起前にどういう証拠を相手方が持っているのかがわかっていれば、事件の全体構造が早くわかりますので、争点をあらかじめ把握することが可能になると思います。有利な証拠が入手できれば、むろん、いいのですが、不利な証拠であっても重要です。それによって相手方の出方を読むことができるからです。サッカーで言えば、ボールの出所を押さえるという意味合いがあります。
 米国にはディスカバリーという証拠開示の制度があるそうですが、私は日本の証拠保全もできるだけそれに引き寄せて活用できないかと考えています。

3,主張立証計画書
 私は先物取引訴訟において、訴訟の初期段階で、「主張立証計画書」というのを裁判所に提出します。第1回期日と第2回期日にはこういうことを主張立証します、第3回はこうです、証拠調べはいつ頃に予定しています等という主張立証計画を裁判所と相手方にわかってもらうためであり、相手方にもできるだけ当方の希望にあわせて準備して欲しいことを申し述べます。
 こういう主張立証計画書を出す目的は、提訴(あるいは第1回期日)から1年程度で判決をもらうためです。裁判所の日程や相手方の都合もありますし、自分自身必ずしも思うように準備できないケースもありますが、それでもだいぶスピーディに進められるようになったと思います。
 ところで、先物取引訴訟において、直しや両建等特定売買の割合(特定売買率)や損害のうち手数料が占める割合(手数料化率)等の数値的基準が重要視されますが、私は数字(だけ)では(思うようには)勝てない(こともある)と考えています。主張立証において、事件のストーリーを描くこと、取引の問題点を具体的に指摘することが大切だと考えています。

4,集中証拠調べ
 訴訟で一番重要なのはやはり証拠調べ(証人尋問、本人尋問)だと思います。証人や本人の信用性がまさに問われる場面だからです。
 現在は、「集中証拠調べ」と言って、原則的に1日で複数の証人や本人の尋問が行われます。その与える印象(心証)は大きく、尋問の出来、不出来が訴訟の帰趨に大きく影響します。
 尋問をする際に重要なことは当然のことながら、時間をかけて準備をすることだと思います。仕事の質はそれにかける時間にほぼ比例すると考えます。神は細部に宿るという言葉がありますが、丁寧に記録を読み込むことが大切だと思います。

(内橋一郎)

以上

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