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2008.12.26 コラム一覧に戻る
08年を振り返って(上)
1, 08年も残すところ、あとわずかになってきました。年々、時間が過ぎゆくスピードが速くなっていき、1年間があっという間に過ぎてゆきます。
 さて、08年はみなさまにおかれてはどのような年であったでしょうか。
 私にとって08年は、仕事上難しい案件が多く、その意味で大変な年でしたが、自分なりに努力して、相応の結果を引き出せ、手応えを感じることができた年であったと言うことができると思います。
 08年の仕事を、各分野ごとに、振り返ってみたいと思います。

2,医療過誤
 医療過誤の分野では、破裂くも膜下出血に対するクリッピング後の確認の適否やその後の再手術の適否、死亡原因等が争点とされた訴訟で、裁判所の選任した2名の鑑定人が患者側主張に対して否定的な鑑定意見を述べたが、それを克服して、勝訴的和解を得たケースがとても印象に残っています。
 医療訴訟は、医学という極めて専門的な事項が対象ですので、第三者的な立場にある医師に鑑定意見を求めることがあります。本件も複雑な案件でしたので、鑑定を申し立てました。しかし鑑定人は医師なので医師側(被告病院)に有利な鑑定意見を書かれる方もないわけではありません。1人の鑑定人の場合はそういう独断的要素もありますが、複数鑑定の場合、そういった独断性は比較的小さいのではないかと考え、慎重を期すために、鑑定人を2人選任して頂き、2人の大学教授から鑑定意見を出してもらうことにしました。
 ところが、裁判所が選任した2人の鑑定人がともに当方(患者側)の主張に対して否定的な鑑定意見書を提出したのです(4月)。1人の鑑定人でも否定的な鑑定意見の場合、それを乗り越えることは容易ではありませんが、鑑定人2人がともに否定意見だと、状況はさらに厳しいものになります。私自身、患者側としては本件以前に、不利益鑑定を6回受けたことがあります(その成績は4勝2敗です)が、複数鑑定は初めてであり、むろんダブルで否定的な鑑定意見をもらったのは初めてでした。
 目の前が真っ暗になる思いでしたが、2人の鑑定人の鑑定意見はとても納得できるものではなく、このまま負けるわけにはいきません。2人の鑑定意見の結論は、当方主張に対して否定的でしたが、理由付けが完全に一致していたわけではなく、相互に矛盾する部分もありましたので、文献や協力医の意見を引用しつつ、その問題性を指摘した準備書面と医学文献を提出しました(5月)。
 裁判所が選任した鑑定を公的鑑定といい、各当事者が依頼する鑑定を私的鑑定書といいますが、裁判所は公的鑑定の鑑定意見を採用することが多いので、かなりの説得力のある私的鑑定書が必要になります。そこで、ある高名な医師に意見を求めたところ、同医師は、「クリップが正しく装着されているか否かの確認は、いかに状況が厳しかろうが、何としても術者が成し遂げなければならない作業である」など、2人の鑑定人の意見の問題性を指摘されたので、私的鑑定書を書いて頂くことをお願いし、了承して頂けました(5月)。2通の公的鑑定書に対抗するために、私的鑑定書を提出しました(8月)。
 そうしたところ、裁判所から、和解の勧試があって、勝訴的な和解案の提示がなされ、被告側も応諾したため、9月、神戸地裁にて、和解が成立しました。
 2通の鑑定書を目の前にしたときはどうなることかと思いましたが、人に恵まれ(協力医、私的鑑定医、協働受任の弁護士)、自分も努力して、よい結果につなげることができ、ほっとしています。
 余談になりますが、私的鑑定書を書いて頂いた医師は、とても高名な方なのですが、なんともいえない人間的魅力に溢れた方でした。仕事を通じてですが、このような方とお会いできたことはとてもよい体験でした。

3,証券取引
 証券被害訴訟で投資家が証券会社に対して勝訴することは簡単なことではありません。医療過誤訴訟は従前から勝訴率が低いとされてきましたが、証券被害訴訟の勝訴率は医療過誤訴訟のそれよりも低いかもしれません。殊に、経験豊かな投資家の場合の勝訴率はかなり低いと考えられます。「そのようなベテラン投資家が取引の内容がわからないなんてことはないでしょう。自己責任ではないですか」というのが証券会社側の言い分で、裁判所もそれに同調することが多いからです。
 本件は、50才代の自営業者の方が、平成11年8月〜12年3月のITバブル期において、証券会社と、信用取引を中心とする株式の短期頻繁取引を行い、約7900万円の損害を被ったというものです。争点は、本件取引は証券会社に主導(口座支配)された違法な過当取引といえるかどうかです。
 原告(控訴人)は、ふるくは昭和58年〜59年頃から、また7社と株式取引を行った経験があるなど、株式取引の経験が豊かで、信用取引についても、被告(被控訴人)との間の本件取引の、1ヶ月半前から他社で取引があり、本件取引と同時進行的に行われていました。裁判所は、原告について、株式取引の経験豊かで、利益獲得志向が極めて強く、自ら積極的に取引に関わったと認定しています。そういった経験豊かな投資家についても、なお取引が証券会社によって主導されたものといえるかが問題になります。
 しかも私が受任したのは、控訴審からで、原審では本人訴訟で既に敗訴していました。訴訟前準備、主張立証、証人尋問という重要部分が既に終わっており、また弁護士をつけずにご本人が訴訟をされたため、不十分な箇所がかなりありました。かなり追い込まれており、徳俵に足がかかったと言っても過言ではないと思います。
 控訴審では、証拠保全手続、文書提出命令申立、求釈明手続、再度の証人(外務員)尋問・本人尋問等考えられることはすべてやりました。控訴審では1回の弁論期日のみで結審することが多く、こういったことは、控訴審では異例ですが、裁判所も一定の理解を示してくれました。その結果、不在時の取引、両建という異常な取引、保証金維持率3割を割るような過大取引の継続と外務員の勧誘等の事実を立証することができました。
 大阪高裁は、本件の両建等の手法を含む大量かつ頻繁な取引は、情報処理に基づく自主的かつ的確な投資判断ができる限界を超えているとして、違法な過当取引であり、また証券会社の指導助言義務に違反するとして、控訴人の損害賠償請求(ただし過失相殺は8割)を認め、逆転勝訴判決を勝ち取ることができました(8月、確定)。
 本件取引のために多くの損害を受けた依頼者の方からは、娘に結婚式をあげてやることができると大変に喜んでもらえました。過失相殺が8割でわずか2割の勝利ではありますが、その勝利の意味は、依頼者の方にとっても、また代理人である私にとっても、決して小さくないと考えております。
   
4,先物取引
 08年は3つの勝訴判決をもらいました。07年に言い渡しを受けた3件の判決は3つとも過失相殺なし判決でした。これに対し08年は3〜4割の過失相殺をされており満点の出来ではありません。しかし各判決とも評価できる点を含むものでした。
 神戸地裁平成20年1月18日判決(確定)は、05年12月の金暴落事件に関連して、臨時増証拠金に関する業者の情報提供義務、助言義務を認める判断を裁判所から、引き出すことができ、また委託者が大学助教授のケースでその属性の高さから、もっと大きな過失相殺の適用も予想されたところ、なんとか3割に止めることができました。
 神戸地裁同年10月7日判決(被告控訴)は、代表取締役には、従業員が適切な勧誘及び助言を行うよう教育及び指導の体制を整備し、少なくとも不適切な勧誘及び助言を行わないようにすべき義務があったにもかかわらず、これを怠ったとして代表取締役の責任を認めました。国内公設市場の商品取引員の代表取締役の責任が認められた例は極めて少ないとのことで、先物被害救済に先駆的に取り組んでこられた弁護士からは画期的であるとの過分な褒め言葉を頂きました(過失相殺は3割)。
 大阪地裁同年11月17日判決(被告控訴)は、被害者の方が取引終了後に業者の管理部と交渉して示談契約書にサインしたが、担当者に騙されたとして、示談契約の錯誤無効ないし詐欺取消を認め、本来の損害に約4割の過失相殺をしたものから被害者に実際に支払われた金額を引いた残額を損害として賠償責任を認めました。
 しかし、一方で、先物業者の廃業や財務内容悪化のため、十分な被害回復ができないまま示談、和解せざるを得なかった案件があったことはとても残念であり、悔しいです。

(内橋一郎)

以上

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