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2009.07.10 コラム一覧に戻る
有料老人ホームの法律問題
1,新聞報道等によれば、有料老人ホームとして届け出のあったホームは00年当時、349だったものが、07年7月に2846にまで増え、09年3月には4110に至っています。さらに無届け施設が後述のとおり600近くもあるとのことです。38万人超の高齢者が特別養護老人ホームの空きを待つなか、有料老人ホームは増え続けています。
無届けホームについては、火災で10人が死亡した「たまゆら」のような事故がありました。また届け出ホームでも、入居時に支払う入居一時金の返金等の苦情が増加し続けているようです。全国の消費生活センターに寄せられた苦情は07年327件で、08年は400件に迫る勢い(集計中)で、98年の5倍以上とのことです(以上につき、09年5月24日朝日新聞)。
  この有料老人ホームに関してどんな法律の規定があり、またどんな法律上の問題点があるのかを概観してみたいと思います。

2,有料老人ホームの定義と種類
(1)老人福祉法によれば、有料老人ホームとは、(A)老人を入居させ、(B)入浴、排泄若しくは食事の介護、食事の提供その他の日常生活上必要な便宜であって厚労省令で定めるもの(他に委託して供与する場合及び将来において供与することを約する場合を含む)を行う施設で、(C)老人福祉施設、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居等厚労省令で定める施設でないものをいうとされています(老人福祉法29条1項)。
 有料老人ホームの定義に該当する場合は、都道府県知事への「届出」が必要になります。群馬県渋川市で起きた老人施設火災を受け、無届け有料老人ホームが問題とされています。厚労省によると、有料老人ホームに該当するのに無届けであるホームが平成21年3月27日時点で579施設あったとされています。
有料老人ホームの設置者には、届出義務が課される外、帳簿作成保管義務(同条3項)、重要事項説明書の作成(同条4項)、前払金の保全義務(同条5項)等が課されます。

(2)有料老人ホームには、健康型、住宅型、介護付き(一般型)、介護付き(外部サービス利用型)の4種類があります。
 @健康型は、自立した高齢者のみを対象とした施設で、食事などのサービスは提供されますが、介護が必要になったら退去しなければなりません。
 A住宅型は、食事などの生活サービスは提供されますが、介護が必要になった場合には要介護認定を受けて外部の訪問介護サービスなどを利用することになります。
 B一定の設備や人的配置などの基準を満たし、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設のみ、「介護付き」と称することができ、介護保険の在宅扱いで給付が受けられます。一般型では介護サービスは有料老人ホームの職員が提供するのに対し、外部サービス利用型では有料老人ホームが安否確認や計画作成等を実施し、介護サービスは委託先の介護サービス事業所が提供します。
 C兵庫県では、県内に設置を認める有料老人ホームは、原則的に、終身介護が保証される特定施設の指定を受けた介護付き有料老人ホームとしています。

3,有料老人ホーム入居者の権利と義務
(1)有料老人ホームの居住権の権利形態としては、利用権方式、建物賃貸借方式、終身建物賃貸借方式があります。
 @利用権方式は、建物賃貸借及び終身建物賃貸借契約以外の契約の形態で、居住部分と生活支援等サービス部分の契約が一体となっているものをいいます。
 A建物賃貸借方式は、賃貸住宅における居住の契約形態であり、居住部分と介護等のサービス部分の契約が別々になっているものです。入居者の死亡をもって契約を終了するという内容は有効にはなりません。
 B終身建物賃貸借方式は、建物賃貸借契約の特別な類型で、都道府県知事から、高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく終身建物賃貸借事業の認可を受けたものです。入居者の死亡をもって契約を終了するという内容が有効です。

(2)入居一時金と月額利用料
 @ 入居一時金は、入居時に一括して支払う費用で、家賃の前払いと考えられます。月額利用料は、月々の生活にかかってくるお金です。月額利用料としては、家賃、管理費、食費、介護費用(自己負担金+上乗せサービス)、介護用品、日用品などがあります。
 A終身にわたって受領すべき家賃等を前払金(入居一時金)として受領する場合、その算定根拠を書面で明示することが求められます(29条5項)。
 B入居一時金は、家賃の前払い金ですから、居住していない部分の家賃相当額(既払分)は本来返済すべきものです。ただ、初期償却金として、一定割合のものは返還されません。初期償却金額等については重要事項説明書、契約書に、例えば「初期(一時)償却:20%」等と定めています。

(3)途中退去、死亡、倒産の場合の法律関係
 @「途中退去」する場合、事前に退去を申し出て所定の退去届けを提出します。
 この場合、入居一時金の精算が行われます。
 A入居者が「死亡」した場合、所有物は身元引受人ないし相続人が所定期間内に引き取ることになります。
 B「倒産」した場合、06年4月以降、新しく開設されるホームは倒産などに備えて、500万円を上限に前払い金の保全措置が義務づけられています(29条5項)。
厚労省が定める入居一時金の保全方法には(A)銀行等による連帯保証、(B)指定格付け機関による特定格付けがなされた親会社による連帯保証、(C)保険会社の保証保険、(D)(A)〜(C)に準じるものとして、都道府県知事が認めるもの(全国有料老人ホーム協会の入居者基金)等があります。
 しかし、総務省の行政評価(平成20年9月)によると、有料老人ホーム77施設を調査したところ、前払金の保全義務がないところを含め、前払金を受け取っていた57施設のうち、68%にあたる39施設は保全措置を講じていなかったとのことです(09年5月3日東京新聞)。

(4)厚労省平成18年3月31日付け有料老人ホーム設置運営標準指導指針は、契約締結日から概ね90日以内の契約解除の場合、既受領の一時金の全額を返還することとしています。このクーリングオフ制度を導入している有料老人ホームが増えてきており、クーリングオフの規定が契約にある場合、受領した一時金を利用者に返還されることになります(契約解除までの利用期間に係わる利用料金や原状回復費用等は控除されます)。

4,有料老人ホームのリスクとトラブル
有料老人ホームのリスクとトラブルとしては、@入居中の事故・トラブル、A他の入居者とのトラブル、B退去に関するトラブル、C契約に関するトラブル、D倒産のリスクがあるとされています(濱田孝一『家族のための有料老人ホーム基礎講座』36頁以下)。
入居中の事故としては、介護事故が問題になるケースが多いと思われます。
他の入居者とのトラブルには、人間関係上のトラブル、場合によってはいじめなども考えられます。
退去について、どのような場合に退去を求められるか、あるいは入居一時金の返還の有無ないし金額等が問題になります。5月24日の朝日新聞には、トラブル事例として、90才代の女性が670万円を払って入所したが、3ヶ月後ホームから「体調が悪いので」と病院に入れられ「入院の必要がない」と拒否したが、一方的に退所させられたという例が紹介されています。また入居一時金が全く返金されない例やクーリングオフに応じない例が紹介されています。ここでは、契約書の規定や解釈が重要です。
契約上のトラブルとしては、契約時の説明と入居後のサービスが違うことが多いと思われます。「職員が乱暴である」とか「食事がまずい」等の例が新聞報道されています。
倒産のリスクはとても深刻です。破産した場合には、ホームから出て行かざるを得ない状況にもなりかねません。

5,介護トラブル110番
 兵庫県弁護士会・消費者保護委員会(介護サービス部会)は、本年3月、『改訂版・介護サービスの処方箋』を出版しました。初版を出版したのは05年3月。それから4年の間に、法改正もあり、介護事故判例も集積されました。法改正や判例の集積を踏まえた改訂版を出版しました。
 そして、7月16日午前10時〜午後3時迄、介護トラブル110番を実施する予定です。電話番号は、078(362)6521(架設電話ですので、同日の指定時間内のみになります)で、無料電話相談に応じることを予定しております。
 施設内で転倒事故にあった、グループホームで食事中の誤嚥事故が起きた、健康状態が悪化したら有料老人ホームから退去しなければならないのか、有料老人ホームからの退去時、入居時に支払った一時金は返還されるのか等について、法的なアドバイスを行います。        
                                          以 上  
                                         (内橋一郎)

以上

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