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2012.10.12 コラム一覧に戻る
保険法実務ノート(3)保険募集における情報提供規制と説明義務・助言義務についてA
保険法実務ノート(3)
〜保険募集における情報提供規制と説明義務・助言義務についてA           
                                            弁護士 内橋 一郎                   保険業法の規制についてもう少し述べます。
1,  書面交付等の規制について
(1)  説明義務その他健全適切運営の確保
保険会社は、その業務にかかる重要な事項の顧客への説明その他健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じなければならないとされています(保険業法100条の2)。
(2) 重要事項説明書の交付(施行規則53条1項10号)
保険会社は、保険募集に際して、保険契約の内容のうち重要な事項を記載した書
    面交付等適切な方法により説明を行うことを確保するための措置を講じなければなりません。
(3) 社内規則作成(同53条の7)
保険会社は、業務の内容および方法に応じ、顧客の知識、経験、財産の状況及び
    取引を行う目的を踏まえた重要事項の顧客への説明その他の健全かつ適切な業務の運営を確保するための措置に関する社内規則等を定めなければなりません。
(4) 意向確認書面(監督指針)
@ 規則53条の7第1項に基づき、保険会社において、契約の申込を行おうとする保険商品が顧客のニーズに合致であることを顧客が確認する機会を確保し、顧客が適切に選択・購入することを可能にするため、意向確認書面の作成が求められています。(監督指針U−3−5−1−2(17))
A 意向確認書面には、顧客ニーズに関する情報(どのような分野の保障を望んでいるか、貯蓄部分を必要としているか、保証期間・保険料・保険金額に関する範囲の希望、優先する事項がある場合はその旨)、当該保険商品が顧客ニーズに合致すると考えた主な理由、その他特記事項を記載し、ニーズに合致しているかどうかを設問等で確認することが求められています。
B 適用範囲
(ア)  監督指針は、意向確認書面の適用範囲として特に顧客のニーズを確認する必要性が高いと考えられる保険商品でありかつ、募集人と顧客が顧客ニーズに関する情報交換をする募集形態のものとし、例示として、変額保険等投資性商品、第1分野、第3分野の保険商品を挙げています。
(イ)  監督指針は、意向確認書面の適用外の保険商品であっても、顧客ニーズに合致しているかどうかを契約締結前に確認する機会を確保するための社内規則の整備を求め、その例として、自動車保険における若年運転者不担保特約等や火災保険における地震保険の付保の有無等を挙げています。
(5)  顧客の誤解
 監督指針は、顧客が保険契約の内容を誤解していること等が明らかな場合には誤解の解消に努めることを求めています。

2,  所属保険会社の損害賠償責任(保険業法283条1項)
(1)  保険募集人が保険募集について保険契約者に加えた損害は所属保険会社がこれを賠償する責任を負わなければなりません(保険業法283条1項)。
 保険会社と保険募集人との間に雇用関係がある場合は民法715条の使用者責任が認められます。
しかし、損害保険代理店のように、単なる委任関係があるに過ぎない場合には使用者責任は認められないのですが、保険代理店の保険募集により利益を享受する保険会社が全く責任を免れるのは妥当でないので、保険募集人に不法行為がある場合に保険会社に賠償責任を課し、保険契約者の保護を図ったものです。
保険業法283条と損害賠償責任は、民法715条の特則であり特別の不法行為責任であって、保険募集人が不法行為を行ったことが前提となります。
(2)  本条の「保険募集について」とは、保険募集自体に限定されず、保険募集と密接な関係にある行為を含む(潘「保険法概説」15頁、「保険関係訴訟」219頁)とされています。
(3)  本条の損害賠償責任は、使用者責任と同性質の責任であるため、使用者責任における「外形標準説」が適用され、保険代理店の取引行為がその外形からみて保険会社の事業の範囲内に属すると認められる場合は認められるが、それが保険代理店の職務権限内において適法に行われたものではなく、かつその相手方である被害者がこの事情を知り、または重大な過失によってこれを知らなかった時は、本条による損害賠償請求はできない(東京高判平成20年11月5日=判タ1309・257)とされています。
                            

以上

弁護士内橋一郎
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