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2012.10.19 コラム一覧に戻る
保険法実務ノート(4)保険募集における情報提供規則と説明義務・助言義務についてB
保険法実務ノート(4)
〜保険募集における情報提供規則と説明義務・助言義務についてB
                                         弁護士 内橋一郎
今回は、保障型保険における説明義務・適合性原則・助言義務のうち、説明義務について述べます。

1,  説明義務違反
(1)  保険契約に関する重要事項について、保険者又は保険募集主体が故意・過失により、説明を怠り、これにより、保険契約者が保険給付を受けられないような保険契約を締結した場合には不法行為による損害賠償責任が問題になります。
(2) 判例上説明義務が問題となったケースとして、以下のものがあります。
   (A)保険契約の全体的な内容・属性に関する説明義務違反
    ・ 岐阜地高山支判昭和59年4月13日(判時1129−101)
生命保険募集人が旅館業者に対し、中途退職者に対しては保険給付がない企
業年金保険契約を勧誘して締結させたのですが、原告会社が当該保険契約を締結するに至った動機は中途退職者の退職金確保のためであり、当該保険では加入の目的を達し得ないにもかかわらず、その説明が誤認混同を生じさせる要素を含み不十分であるとして、錯誤無効と共に募取法11条1項、民法715条に基づく損害賠償を認めました。
   (B)免責事由に関する説明義務違反
    ・ 若年運転者不担保特約−東京高判平成3年6月6日(百選6、判時1443−1346、判タ767−236)
自動車保険における若年運転者不担保特約について更新時の説明が問題とな
ったケースにつき、(@)運転者の年齢制限に関する特約は、保険契約者にとって保険の内容として担保範囲を著しく縮小させるものであるから、募取法16条1項1号(現在の保険業法300条1項1項)にいう保険契約の契約条項のうち『重要な事項』に該当するとし、(A)保険期間が1年で1年毎に契約を更新する場合であっても、原則として各更新の都度、契約条項のうち重要事項の告知をすべき義務があるとしました。(B)ただし本件では告知義務違反はなかったとしました。
・  火災保険における地震免責条項−最判平成15年12月9日(判時1849−93、判タ1143−243)
 (@)本件火災保険契約の申込書には『地震保険は申し込みません』との記載がある地震保険不加入意思確認欄が設けられ、申込者が地震保険に加入しない場合にはその欄に押印することになっている、(A)原告(上告人)らはこの欄に自らの意思で押印しているのであって保険会社側から提供された上記情報の内容を理解していたことがうかがわれるとし、(B)地震保険に加入するか否かについての意思決定は生命身体等の人格的利益に関するものではなく、財産的利益に関するものであることから、この意思決定に関し、仮に保険募集人からの情報提供や説明に何らかの不十分、不適切な点があったとしても、特段の事情がない限り、慰謝料請求権の発生を肯定し得る違法行為と評価することはできないとしました。
・  山下「保険法」181頁は、上記事例に関連して、「若年運転者不担保特約の事例は更新時の説明が問題となった事例であること、地震免責条項は今日では公知性が高いという要素が責任否定に作用しているのであって、逆に新規に若年不担保特約を締結する場合や新種保険で一般人になじみがなく、一般人の予期しにくい重大な事由がある場合においては説明義務違反による不法行為責任の成立可能性」を示唆されています。
(3)  保険業法違反と私法上の説明義務違反との関係についてはどのように考えるべきでしょうか。
・  保険業法違反が直ちに私法上の説明義務違反を構成するか否かについて議論があります(久保田百選6解説)が、業法は顧客保護の見地から規定されたものですから、その違反が違法性の重要な判断要素になることは違いないと考えます。
・  山下「保険法」182頁は、「業法違反が不法行為責任成立要件としての違法性の重要な判断要素であることを認めてよく、それは刑事罰の対象となる業法300条1項1号のみでなく、その後に新設された業法100条の2のような情報開示規制も同様」としています。
★ 業法100条の2
&#9758 保険会社は、その業務に関し、内閣府令で定めるところにより、その業務に係る重要な事項の顧客への説明等健全かつ適切な運営を確保するための措置を応じなければならない。
(4)  ではどのような事項について説明すべきなのでしょうか。言いかえればどのような場合が説明義務違反とされるのでしょうか。
・  説明すべき事項は、一般的には、保険契約を締結するにあたり、合理的判断に影響を及ぼす事項であるとされています。
それは、保険の種類ごとに平均的顧客層の立場から判断されるとされています。
・  ただし、保険者側が顧客の特別な目的を知り得た場合等には、それに関連する事項について、説明義務を認めても保険者側に過大な負担を課すことにはならない(山本「保険関係訴訟」239頁)とされています。
(5)  ではどの程度の説明が求められるのでしょうか。
・ 説明に関して、個々の保険契約者の理解ないし理解可能性を考慮すべきかについては議論があります。
・ 山下「保険法」182頁は、一般原則としては一般人の理解可能な説明をすれば十分であるが、個々の保険契約者にとって不十分である特段の事情が保険募集主体にも認識可能な場合は当該保険契約者にとって理解可能な説明が必要になるとされています。
・ 山本「保険関係訴訟」240頁は、「抽象的には個別的な顧客の理解可能性に応じた説明が必要であるといっても、一般的に理解しやすい事項については一般的な説明で足りる、この点で定型的な内容の保険商品については、一般的には通常の顧客に理解させる程度の説明で足りるが、説明事項が複雑になるにつれ、そもそも通常の顧客に理解させる程度の説明として相当程度丁寧な説明が必要になる」としています。
(3)  有期払込終身保険についての説明義務違反例(東京高判平成16年10月19日=判時1878−97)
 顧客が保険会社営業社員に手持ち資金1000万円を運用することが目的で、資産運用を相談したところ、定額終身保険への加入を勧誘され、3年間で1000万円を支払って解約するつもりで、毎年300万円を30年間支払えば死亡時または高度障害時に1億300万円を給付される有期払込終身保険を締結し、1回目の保険料を支払ったが、その後、3年後に解約しても払込保険料を上回る解約返戻金を確実に取得できないことが判明したため、不法行為に基づく損害賠償を請求したケースにつき、本件保険契約は長期間継続することを予定せず、3年間経過後に解約し、解約返戻金で新規保険に切り替え得ることを予定していたのですから、保険契約者にその内容を充分理解させるためには少なくとも3年間経過後に解約した場合の解約返戻金の額を明示し、併せて仮に当該解約返戻金の全部を全期前払保険料に投じた場合に、どの程度の規模の保険契約が可能であるかを例を示してでもいいから説明すべきであり、これを怠った場合には契約に付随する説明義務に違反するというべきであるとして、顧客が支払った保険料の6割の限度で損害賠償を認めました。
                            

以上

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