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2012.10.26 コラム一覧に戻る
保険法実務ノート(5)交通事故をめぐる保険〜自動車保険@
保険法実務ノート(5)
交通事故をめぐる保険〜自動車保険@
                                            弁護士内橋一郎
≪はじめに≫
 ぼくは、弁護士になって5年間、保険事故を主たる取り扱いとする法律事務所に、いわゆるイソ弁(勤務弁護士)として勤務しました。保険事故の種類は多様で医療過誤や学校事故等いろいろな種類の保険事故を担当させてもらいましたが、数の上では、圧倒的に、交通事故が多数を占めます。従って、仕事は朝から晩までほぼ1日交通事故の対応を考えていることが多かったように思います。おかげで、若い時期に交通事故の基本をみっちりたたき込まれました。またカルテ等の見方等いろいろなことを学び、それが、いまの仕事の基礎になっているように思います。
 ウエストローという判例検索を、自分の名前で検索すると、44件の判例ができていますが、比較的初期のものに、保険に関する判例が多いのも、5年間のイソ弁時代のものです(実質的にはボス弁の仕事ですが)。
 さて、今回から、「交通事故をめぐる保険〜自動車保険」を掲載します。

T 自動車保険〜自賠責保険と任意保険
1,自賠責保険と任意自動車保険
 自動車保険には、自賠法により保険契約の締結が強制される自賠責保険と保険契約の締結が任意なものとされる任意自動車保険があることは既にご承知のことと思言います。
 自賠責保険と任意保険の2階建てになっています。

任意自動車保険
 ≪二階建て構造≫(ただし人身事故)
自 賠 責 保 険

2,任意自動車保険の分類
  任意自動車保険
【保険の種類】  【保険事故】
対人賠償責任保険: 被保険自動車の所有、使用または管理に起因して生じた偶然の事故で他人の生命または身体を害することにより、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することにより損害を被ること
対物賠償責任保険: 被保険自動車の所有、使用または管理に起因して生じた偶然の事故で他人の財物を損壊することにより、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することにより損害を被ること
搭乗者傷害保険: 被保険者が被保険自動車の運行に起因する事故等の急激かつ偶然な外来の事故により身体に傷害を被った場合
人身傷害補償保険: 被保険者が自動車の運用により運行に起因する事故等の急激かつ偶然な外来の事故により身体に傷害を被ること
自損事故傷害保険: 被保険自動車の運行に起因する事故等の急激かつ偶然な外来の事故により被保険者が傷害を被ること
無保険車事故傷害:   無保険車の所有、使用または管理に起因して生じた偶然な事故により、被保険者の生命が害され、または後遺障害が生じ、被保険者等が被る損害に対して、損害賠償責任を負担する者がいること
車両保険:衝突、接触、墜落、転覆、物の飛来、物の落下、火災、爆発、盗 難、台風、洪水、高潮等その他の偶然の事故により被保険車に損害が生じたこと

U 自賠責保険
1,自賠責保険の趣旨・構造
(1)自賠責保険
@自賠責保険は、自動車の運行による人身事故の被害者に対し、基本的な補償を行うことを目的としています。
A 原則として全ての自動車に契約締結が強制されます(自賠法5条、10条)。
・自賠責保険証明書の車両への備付
・車検における自賠責保険証明書の提示
B保険の性質は、対人賠償責任保険で、人身損害に限定されます。
C被害者に対する基本的補償を提供するもので、保障内容が定型化されています。
Dひき逃げ事故、無保険車事故の場合にも、政府保障事業(自賠法72条1項前段、後段)による補償がなされます。
(2)自賠法3条−運行供用者責任 〜 立証責任の転換
@自賠法3条は、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって、他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任じる。ただし、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと並びに自動車に構造上又は機能上の障害がなかったことを証明したときは、この限りではない」として、立証責任の転換を認めています。

運行供用者 → 運行 → 他人の生命・身体の侵害 ⇒ 損害賠償責任
 
Aすなわち運行供用者は責任を免れるには以下の3条件を証明することが必要となります。
自己及び運転者の自動車の運行につき注意を怠らなかったこと被害者又は運転者以外の第三者の故意・過失の存在
自動車の構造上の欠陥又は機能の障害の不存在

(3)自賠責保険会社は、交通事故証明書に記載されています。

2,運行概念
自賠法は、自動車の「運行」による事故を担保するものですが、どのような場合が運行にあたるかについては下記の判例があります。
☆最判昭和52年11月24日(交通事故判例百選L)
「自動車を当該装置の用い方に従い用いること」には、自動車をエンジンその他の走行装置により位置の移動を伴う走行状態におく場合だけでなく、本件のように、特殊自動車であるクレーンをその目的に従って操作する場合をも含む。

3,運行供用者
(1)運行供用者・保有者・運転者
@運行供用者とは、自己のために自動車を運行の用に供する者をいいます。
・運行供用者にあたるかどうかの判断は、運行支配(危険責任)・運行利益(報償責任)に基づいてなされるとされています。
A保有者:所有者その他自動車を所有する権利を有する者で、自己のために自動車を運行の用に供する者(自賠法2条3項)
B運転者:他人のために自動車の運転又は運転補助に従事する者(自賠法2条4項)
 以下では、運用供用者性が問題になった判例を紹介します。
(2)被用者の無断運転
☆ 最判昭和39年2月11日(民集18巻2号315頁)
農業協同組合の運転手が、私用に使うことを禁止されていたにもかかわらず、組合の内規に違反して組合所有の自動車を無断で運転して自宅に帰ろうとした途中、事故を起こしたケースにつき、所有者と運転者の間の雇用関係などの密生な関係が存在し、かつ日常の自動車の運転・管理状況からして、客観的・外形的にみて、所有者である農業協同組合が運行供用者にあたる。
(3)  親所有の車の子による無断運転
  ☆ 最判昭和49年7月16日(民集28巻5号732頁)
  17歳の子が所有する原動機付き自転車で事故を起こした  ケースにつき、親が子のために買い与え、保険料等経費  を負担しており、子が独立して生活する能力を有せず、  親に依存している等の事情がある場合は親の運行供用   者責任を肯定。
(4)運転代行
☆最判平成9年10月31日民集51巻9号3962頁)
 飲酒等によって自動車を運転することができない者に変り依頼を受けた業者が 運転して目的地に送り届ける運転代行において、依頼者の自動車に依頼者を乗せて、運転中に事故を起こした場合、業者、運転手に加え、代行運転を依頼して助手席に同乗していた者の運行供用者責任を肯定。
(5)泥棒運転
☆最判昭和48年12月20日(交通事故百選G)
タクシー会社の車庫に侵入し、ドアをかけずエンジンキーを差し込んだままにしてあったタクシーを盗み出し、タクシー営業中に、事故を起こし、同乗していた客に負傷させたケースについて、運行供用者責任を否定。
(6)レンタカー
☆東京地判平成19年7月5日(判時1999号83頁)
レンタカー会社の運行供用者責任を肯定

≪今回のまとめ≫
T自動車保険の趣旨(自賠責保険、任意保険)
1,自賠責保険と任意保険の2階建て
2,任意自動車保険の種類
U自賠責保険
1,運行供用者責任
2,運行概念
3,運行供用者

≪次回の予定≫
 U 自賠責保険
4,他人性
5,加害者請求と被害者請求
6,損害額の算定
7,仮渡金請求と差押禁止
8,免責事由
9,重過失免責と過失相殺

以上

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