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2013.4.5 コラム一覧に戻る
最近の証券判例から(平成25年1月〜3月)
最近の証券判例から(平成25年1月〜3月)                     弁護士内橋一郎
 平成25年1月から3月の間に言い渡された証券判例から、いくつかをご紹介します。
1)大阪地裁平成25年1月11日判決(控訴)
投資経験の乏しい30歳代の女性が平成15年から24年頃までの信用取引を中心とする株式取引等の過当取引により多額の損害を被ったケースにつき、取引開始以後の経緯、本件取引の取引回数・保有期間・損失額における手数料の割合・回転率、安定重視という投資意向に沿わない取引も少なからず行われていること、原告が被告担当者の言いなりになっていた実態等に照らすと、本件取引は全体として適合性原則に違反し、過当に行われたもので。被告担当者の勧誘行為は全体として不法行為を構成するとして証券会社に損害賠償責任を認めました(過失相殺4割)。
手前味噌になりますが、この事案は僕が担当しました。「過当取引」は証券会社が手数料取得のために顧客に回転売買をさせるというもので証券被害としては古典的なタイプのものですが、近時でも大阪地裁平成24年9月24日判決(過失相殺3割)等があり、各地で現在もなお被害があるようです。僕自身も、過当取引事案を担当するのは本件で7件目になります(勝訴判決4件、勝訴的和解2件、敗訴1件)が、証券事件は難易度が高いので勝訴判決は格別の喜びがあります。
もっとも、証券会社から控訴があり、控訴審がこれから始まるので、これからも頑張らねばなりません。

2)大阪地裁平成25年2月15日判決(控訴)
 無職の女性が購入した為替連動型の30年債と株価連動型のEB債により多額の損害を被った事案について、本件各債券は各種証券取引の中でも極めてリスクの高い取引類型であり、その仕組みも複雑であることは否定できす、その取引適合性の程度も相当高度なものが要求されるとして、本件各証券の取引に適合するのは、少なくともそのリスクを理解するに足りる知識・経験と、その危険性を引き受けるに足りる余裕資金を有する者に限られるとして、本件の原告について、適合性原則違反と説明義務違反を認め、証券会社に損害賠償責任を認めました(過失相殺4割)。
 30年債は一定のクーポンを受け取れますが、長期間資金を拘束され、為替相場により大幅な元本毀損のリスクを生じる等リスクとリターンが不均衡で、リスクが高く、仕組みの複雑な商品です。
 30年債については、本件仕組債の権利内容について錯誤無効を認めた大阪地裁平成22年3月26日判決、その控訴審である大阪高裁平成22年10月12日判決がありますが、それに続く30年債に関する判決です。
僕も現在、30年債の事案を、他の弁護士と共同で取り組んでおり、これらの判決はとても参考になります。僕達も頑張って、続きたいと思います。

3)大阪地裁平成25年2月20日判決(確定)
 70歳代の女性が預金先であった銀行からの勧誘で定期預金を解約してノックイン型投資信託を購入し、損害を被った事案について、購入者が本件商品を購入するか否か等の投資判断を的確にするには、少なくとも担当者の説明を聞き、又はパンフレット等の交付された資料を読むことで、本件商品の特性を認識及び理解できるだけの能力及び日経平均株価の推移や動向をある程度は把握及び理解できる能力が必要だが、顧客の属性や職歴、職歴、経歴からして、このような脳力を備えていなかったとし、適合性原則違反を認め、さらに適合性に欠ける顧客に十分な説明をせず本件商品を勧め購入に至らせたとして説明義務違反を認めました。
 証券事件では顧客にも落ち度があったとして、過失相殺が適用されるケースが多いのですが、本件では適合性原則違反及び説明義務違反のどちらの関係でも過失相殺を行うことが相当とはいえないとして、過失相殺を否定しました。その上、控訴もなく、一審で確定しており、百点満点の素晴らしい判決だと思います。

4)大阪高裁平成25年2月22日判決
 70歳代の女性に対して、RC分類で3以上の、中にはRC5といったリスク度の高い投資信託等(外債、EB債を含む)の乗換取引をさせ、損害を被らせた事案について、顧客は株式の現物取引の経験はあったものの、その後、疾患に罹患して一旦は後見が開始され、後見が取り消された後も主体的な判断で証券取引を行うことが不可能であったのであり、その顧客に対し、相当のリスクがあり、理解が困難な投資信託やEB債の購入を勧誘し、投資させた行為は、適合性原則に違反するとし、また本件商品の内容・仕組み、リスクの質と程度説、乗換売買を行う理由、メリットデメリット等について十分な説明をしたものとは到底言えないとして、説明義務違反を認め、さらに乗換取引に関し、証券会社は顧客の利益を犠牲にして利益を図った等無意味な反復売買として不法行為を構成するとして(過失相殺2割)、投資家敗訴の一審判決を取り消し、投資家の逆転勝訴を認めました(過失相殺2割)。
 投資信託の乗換事案についてのリーディングケースとしては、大阪地裁平成18年4月26日判決や大阪高裁平成20年6月3日判決がありますが、この種事案は投資信託等に関するものであり、「過当取引」とされるものほどに取引は過当でないため、証券事件に取り組む弁護士にとっても難易度の高いものですが、この判決は、大阪地裁18年判決、大阪高裁20年判決に続くものです。僕自身、投資信託の乗換事案で一所懸命に取り組んだのですが、残念ながら敗訴となったことがあるので、その難しさはわかります。しかも一審敗訴の、厳しい状況の中、高裁で逆転したもので高く評価できると思います。

5)京都地裁平成25年3月28日判決
 歯科医が購入した外貨建てプロテクション付きノックインプット・エクイティリンク債(償還期限は3年で金利は19・65%で確定していたが、発行価格100万米ドルに対して想定元本1000万米ドルで、対象銘柄株式10銘柄のうち1銘柄でも株価が基礎価格の60%を下回るとノックインとなって損失の計算対象となり、3年後までに株価が基準価格に回復しなければ損失として確定する)を購入し、損害を被ったケースにつき、本件仕組債は参照対象銘柄が10銘柄であることにより10の株式の株価の推移を同時に見極めなければならず、想定元本が発行価格の10倍であるため、元本を毀損するリスクも10倍になることが簡単に理解しがたく、リスクが個々の参照対象株式のボラティリティに大きく依存するところ、証券会社の担当者の説明は、参照対象株式の株価がノックイン価格未満となり、元本が毀損される可能性が相当程度低いと信じたとして無理からぬもので誤解を生じさせるような説明しかしてないとして、説明義務違反を認めました(過失相殺5割)。
 この種の仕組債に関する判例としては、大阪地裁平成22年3月26日判決がありますが、この判決はそれに続くもので、やはり素晴らしいと思います。
以上
なお文章作成に当たっては全国証券問題研究会判例データベースも参照しました。

以上

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