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2016.09.20 コラム一覧に戻る
第54回全国証券問題研究会@山形
【第54回全国証券問題研究会@山形】
                    
                                          弁護士 内橋一郎

1.  平成28年9月2日〜3日、山形市で、第54回全国証券問題研究会が開催された。
 京都大会、浜松大会に続く、神戸執行部としては3回目の全国研究会の開催である。
 例によって大会前日の1日に、山形入り。地元山形研究会と打ち合わせと懇親とを兼ねた懇親会が夕方からあるためだ。
 1日は朝の飛行機で、仙台空港まで行き、電車に乗り換え仙台市内に入り、昼食をとり、そこから山形市内までバス。
 打ち合わせと懇親会までに少し時間があったので、霞城公園に散歩に行った。
 霞城公園というのは、山形城址を整備した公園で、山形城址のほかに、郷土館、博物館、美術館、最上義光歴史館等が点在している。山形城というのは、斯波兼頼(最上家初代)が築城し、現在の城郭は最上義光が築いたものが原型とされる。
 時間がそうあったわけではないので、山形城址と郷土館、博物館にのみ立ち寄った。城址は現在二の丸の堀や土塁・石垣が残されるが、かつては全国有数の規模を誇る平城であったとのこと。郷土館は旧済生館ともいい、当初、県立病院として建築された、三層楼の建物で、現在は医療関係資料等が展示されているが、建物自体、なかなか見ごたえのある素晴らしい建築物であった。博物館では、縄文の女神と称される土偶が美しかった。
 霞城公園での散策を終え、現地の大会会場に行き、大会資料等が到着しているかを確認した後、地元会との打ち合わせを兼ねる懇親会場に向かった。懇親会では、芋煮や山形の特産品を頂いたが、全て美味しかった。その日は、翌日からの大会もあるので、早々と解散。

2.  1日目(9月2日)午前は入門講座として2つの講義。トップバッターは正木健司弁護士(名古屋)の「入門講座〜信用取引過当売買事件」。準備に多く時間を割かれたことがわかる、丁寧な講義で参加者の評価は高かった。次いで、桜井弁護士(東京)の講義は、恒例の判例講座に加えて、「適合性と実務」と題する講演。桜井健夫弁護士の講演は入門講座となっているが、いつもながら、議論のトップを走るものであり、大いに刺激を受ける。昼休みは津久井進弁護士(神戸)によるランチョンセミナー。「災害援助と弁護士の心構え」というタイトルでいい話をしてくれた。証券問題の研究会なのに、どうして災害援助なのかと訝しがられるからもあるかもしれないが、同じ権利擁護という点は共通しており、その問題に関心を持つ弁護士も多く、評判はよかった。
 1日目午後は、地元会の弁護士会長の歓迎挨拶、代表の基調報告のあと、メイン
の基調講演だが、今回は山田剛志教授(成城大学)の「金融機関の説明義務と適合性原則〜デリバティブ取引に関する判例を中心にして」と題する講演。不法行為による相関関係説を基盤として、適合性原則違反の要素を再構成しようとするもので、我々実務家には分かりやすく、取り入れやすい考えで、大変に参考になった。
 次いで、上柳敏郎弁護士から「フィディシャリー・デュテーィに関する金融庁の動き」等に関する報告、さらに今川嘉文教授(龍谷大学)から「信認義務法理と民事損害賠償請求での使い方」の講演。フィディシャリー・デュテーィ(信認義務)は、古くて新しい問題。上柳弁護士の現況報告は的確でわかりやすく、今川教授の講演は沿革まで遡って、現在に生かそうという試みで、いずれも勉強になった。
 1日目最後のプログラムは、模擬裁判。加藤昌利、橋本有輝両弁護士(神戸)が、顧客側弁護士役として、浅川壽一弁護士(かながわ)扮する外務員を尋問(反対尋問)し、裁判官(武井共夫、西本暁、石塚陽子各弁護士、かながわ)がさらに補充尋問し、最後に、中嶋弘弁護士(大阪)に講評してもらうというスタイル。プロばかりの前での尋問役にはプレッシャーがあったと思うが、加藤、橋本弁護士はよく頑張ってくれたと思う。裁判官役の補充尋問も鋭く、最後の中嶋弁護士の講評も評価が高かった。いろいろと意見はあろうが、色々な試みを試してみることが重要ではないかと思う。
 夜の懇親会は、地元の料理もお酒もおいしく、楽しい会であった。
 2日目(9月3日)は香川の吉田泰郎弁護士から「粉飾決算事件報告」、京都の加藤進一郎弁護士から「商品混在型被害事件へのアプローチ」の報告、京都の安枝信雄弁護士と東京の大迫恵美子弁護士による「適合性原則を実務にどう活かしていくか」というテーマでの対談、さらに東京の太田賢志弁護士、島幸明弁護士、塚田裕二弁護士の判例報告、大阪の三木俊博弁護士による和解報告等がなされた。

3.  2日目の後片付けを終えたあと、山形のお隣にある上山(かみのやま)の、タケダワイナリーの見学に行った。1920年からワインを作っているワイナリーでその評価も高い。ぼくらが見学にいったときは、ブドウを選果する作業の最中で、社長自ら、選果されていたのが印象的であった。
 その後、再度、山形に引き返し、鶴岡に向かった。
 鶴岡に向かったのは、1つには、藤沢周平の描く、海坂藩のモデルが庄内藩で、その城下町が鶴岡とのことで、一度、どのようなところから、見ておきたかったからだ。
 もう一つは、アル・ケッチャーノというイタリア料理の店に行ってみたかったからでもある。
 しかし、山形から鶴岡までは、バスで2時間。時間はかかったが、山々の緑は美しく、月山や月山湖を眺めながらのバス旅行もそう悪いものではなかった。
ミシュランの3つ星の定義は、その店で食事するためにわざわざ旅行する価値のある店というものだったように思うが、今回のアル・ケッチャーノ行は、その意味で、三ツ星の旅行でもあった。

4.  ところで、山形大会では、「事例で学ぶ金融商品取引被害の救済実務」(民事法研究会)が販売された。
 この本は、三木俊博弁護士編集にかかる証券問題被害救済の実務にあたる弁護士のための実務書で、三木弁護士を筆頭に、松田繁三弁護士、田端聡弁護士、中嶋弘弁護士、今井孝直弁護士(以上大阪)、加藤進一郎弁護士(京都)らの共著によるもので、神戸の僕も著者の末席に加えてもらっている(総論第4章1、各論第2章等)。
 証券被害救済にあたる第一線の弁護士ともに、名を連ねるのは、うれしいような恥ずかしいような面持ちであるが、出版のための編集会議は、第一人者ばかりが集まっての議論だけに、とても勉強になったし、楽しかった。
 
5.  さて、次回の全国証券は3月10日、11日と名古屋で開催される。山形大会が終わったばかりだが、そろそろ、次の準備に取り掛からねばならない。次回は神戸執行部としては4回目で、最後の大会となる。
あともうひと頑張りしたと思う。
                               

以上

弁護士内橋一郎
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