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 独禁法
 消費者や中小事業者のため、消費者被害や企業間トラブルにおいて、独占禁止法の規定(欺瞞的顧客誘引、不当な利益による顧客誘引、抱き合わせ販売、競争者に対する取引妨害、再販売価格の拘束、優越的地位の濫用等)を活用することにより、民事的解決を図ることを目指します。
 フランチャイズ
 フランチャイズ契約を締結するに際し、フランチャイザーがフランチャイジーに対して適切な情報提供をしなかったため、フランチャイジーが被った損害の賠償等中小事業者の立場に立って妥当な民事的解決を目指します。
 フランチャイジーのためのフランチャイズ判例
1, 東京高裁平成17年2月24日判決(消費者問題ニュースNo106掲載記事からの引用)
 コンビニのFC本部は契約上、加盟店の粗利益の30%〜50%のチャージをとれることになっているところ、ここに粗利益とは総売上額から総仕入れ額を控除したものと解するのが通常の取引慣行であるが、本件では賞味期限切れ等で廃棄された商品を総仕入れ額に計上しない独特の計算式を用いてチャージが取られていた。
 東京高裁は、廃棄商品についてまで売上に含めて本部がチャージを取れるとの合意は契約上認められないとして、平成8年〜15年まで2000万円以上のチャージの返還を命じた。

2, 神戸地裁平成15年7月24日判決(下級裁主要判例情報)
 本件フランチャイジーは平成9年5月、ステーキハウスのフランチャイズ契約を締結し、加盟金800万円を支払ったが、契約後、営業を開始しないまま、契約を継続する意思を失った。そこで、本件フランチャイザーに対し加盟金の返還を求めたが、本件フランチャイザーが加盟金不返還特約を理由に拒否したので、不当利得を理由に本件訴訟にて返還を求めた。
 本判決は、本件加盟金は営業許諾料、フランチャイザーの商号・商標の使用許諾料・開業準備費用(研修教育訓練費を含む)としての性質を有するものであるが、商号・商標の使用許諾料・営業許諾料を合わせても800万円に相当する価値があるとは到底認められない上、本件フランチャイザーは開業準備費用も支出してないのであるから、本件加盟金800万円は著しく対価性を欠き、高額に過ぎるのであって、その返還を認めないとする加盟金不返還特約は暴利行為であって公序良俗に違反する。
 そして、本件フランチャイザーの商号・商標に周知性・集客力が認められないこと、純然たる営業許諾料以外に年間数百万円のロイヤリティが支払われることを考慮すると、商号・商標の使用許諾料・営業許諾料としてはいかに高く見積もっても本加盟金800万円の4分の1すなわち200万円を上回るものではないとして、600万円の不当利得返還を認めた。

3, 名古屋地裁平成13年5月18日判決(判例時報1774号108頁)
 本件フランチャイジーは平成9年9月、コンビニエンスストアのフランチャイザーとフランチャイズ契約を締結し、10月から営業を開始したが、その後、経営に行く詰まり、平成10年5月、店舗を閉鎖した。本件フランチャイジーは、本件フランチャイザーに対し、加盟店に対する情報提供義務違反があるとして、不法行為及び契約締結上の過失による損害賠償の請求を行った。
 本判決は、被告は本件店舗の売上予測に際してかなり楽観的ないし強気の見通しを立てていたことを否定できず、その結果、開店当初の売上予測が実際よりかなり高めのものとなったのであり、フランチャイザーとして店舗経営に関する蓄積したノウハウを豊富に有する被告としては杜撰であったとの誹りを免れない。しかも、このように予測した本件店舗の日商予測売上数値をフランチャイジーになるべき原告に開示することすらしていないのであるから、不正確な売上を予測して本件店舗を開発し、本件契約に際し、正確な判断の前提となる資料を原告に充分提供しなかった点は社会通念上違法であり、被告は不法行為責任を免れないとした。

4, 福岡高裁平成13年4月10日判決(判例時報1773号52頁)
 本件フランチャイジーは平成9年1月、サンドウィッチ店のフランチャイズ契約を締結し、3月、サンドウィッチ店を開業したが、毎月損失が続き、翌10年1月、閉店した。
 本件フランチャイジーは本件フランチャイザーが提供した予測売上及び予測営業利益は合理性を有せず、そのために損害を被ったとして本件フランチャイザーに対して損害賠償請求を行った。
 本判決は、本件フランチャイザーが売上予測のために用いた商圏人口、マーケットサイズ、シェアに関する各数値はいずれも十分な調査、検討を経ておらず、合理性を有しないといわざるを得ないから、本件報告書における本件店舗の予測売上高(月間)を490万円とする判断はその断定的な表現とは裏腹に合理性を欠いた誤った推論であったとし、本件報告書中の予測売上高を前提とする償却前営業利益の予測も同様に合理性を有しないとした。
 その上で、本件フランチャイザーは本件店舗の予測売上高等についての情報を提供するにあたり、本件フランチャイザーがサンドウィッチ店事業の経営について合理性のある情報を提供すべき信義則上の義務を怠ったとして、本件フランチャイザーに過失があるとした。

5, 水戸地裁平成7年2月21日判決(判例タイムス876号217頁)
 原告らは茨城県内で全国的な学習塾のフランチャイズチェーンとフランチャイズ契約を締結し、開設資金を支払ったが、フランチャイズ契約の勧誘行為が詐欺に当たる
として開設資金と同額の損害賠償を求めた。
 本判決は次のように判示した。すなわち、本件フランチャイザーの担当者は原告らに対し、@生徒募集は被告がそのノウハウにより責任をもって行う、A講師は被告が研修した上で責任をもって派遣する、B経営者は場所を提供し、開設資金だけ支払えばあとは月謝の徴収、ロイヤリティ・講師料の支払等簡単な事務をするだけでよく、その他の運営は被告に任せて欲しい、経営者は素人なので口出しをしない方がいい、C最低でも月額10万円の収益があがる等と資料を示しながら、勧誘した。しかし、実際は被告が行った生徒募集は新聞に折り込み広告を入れ、チラシを配布した程度で、講師の殆どが短大卒程度のアルバイトで安易な面接だけで採用し、講師として指導・研修もなかった。
 そして、これらの点を被告は客観的にみて多数の加盟店を事前説明のとおりに運営していくだけの意思も能力もないのに、その能力があるかのように偽って加盟希望者を錯誤に陥れ、塾加盟契約を締結させたのであり、このような勧誘行為は組織的に行われていたのであって、詐欺による不法行為を構成するした。

6, 京都地裁平成3年10月1日(判例時報1413号102頁)
 本件フランチャイジーは昭和62年11月、パン製造販売のフランチャイズチェーンとフランチャイズ契約を締結し、12月に本件店舗で営業を開始したが、経営に行く詰まり、昭和63年2月下旬に店舗を閉店した。
 本件フランチャイジーは、本件店舗が立地条件の整っていない場所であったにもかかわらず本件フランチャイザーが誤った需要予測調査に基づいて開店を促したことが原因で経営破綻をもたらしたとして、本件フランチャイザーに対し、損害賠償を行った。
 本判決は、本件フランチャイザー(被告)従業員はチェーン店を増やすことによって事業の宣伝、拡大をしようとする余り、需要予測調査のデータの正確さ、市場調査の信頼性を過度に強調し、他方、市場調査における売上予測の限界やフランチャイズチェーン店の経営リスク等の十分な説明を行っていなかったとものと推認されるとし、 このような説明の態様は被告の指導に従って営業を行えば、開店直後から、損益計算書に記載された程度の利益を上げられると思いこむおそれが強いとした。
 従って被告はフランチャイズ契約への加入の可否について適切な判断を困難にするおそれのある情報を提供したのであって、フランチャイズ契約の加盟店募集に際し、適正な情報を提供する信義則上の保護義務を怠ったとして損害賠償責任を認めた。
 中小事業者のための独禁法判例
1, 大阪高裁平成5年7月30日判決(判例時報1479号21頁)
 東芝エレベーターは、東芝が製造したエレベーターの保守サービスと交換部品の一手販売を行う東芝の子会社であったが、本件エレベーターの設置者Aはエレベーターの保守管理をいわゆる独立系保守業者Bに行わせていたところ、部品交換を要する故障が生じた。そこで、A及びBは東芝エレベーターに対して交換部品を発注したところ、東芝エレベーターは安全性確保のために取替調整工事も併せて発注しなければ部品の注文に応じない、その納期は3ヶ月先であると回答した。
 AとBは、東芝エレベーターの行為が不公正な取引方法、一般指定15項の不当な取引妨害に該当し独禁法19条違反であるとして民法709条に基づき、損害賠償を求めた。これに対し東芝エレベーターは、自ら取替工事を行うことによって安全性を確保する必要があるから不当性はなく、一般指定15項に該当せず、あるいは該当するとしても正当な理由があるから違法な行為とは言えないと争った。
 大阪高裁は、商品の安全性確保が公正競争阻害性の有無を判断する要因になるとしたが、Bの技術が東芝エレベーターの技術に対比して相対的には劣るとしてもその技術水準において本件各部品の単体での供給を受けて、本件の現実的故障を修理する程度には達していたとし、取替調整工事込みの供給でなければ、エレベーターの安全性を確保できないとは認められないとした。
 そして、本件各部品とその取替調整工事とはそれぞれ独立性を有し、独立して取引の対象とされるのであって、安全性確保のための必要性が明確に認められない以上、このような「商品と役務を抱き合わせての取引をすることは買い手にその商品選択の自由を失わせ、事業者間の公正な能率競争を阻害する」ものであって不当であるとして、不法行為に該当するとした。

2, 神戸地裁平成14年9月17日判決(下級裁主要判決情報)
 原告は、昭和40年にマックスファクターと特約店契約を結び、その後、全国各地でマックスファクター化粧品を販売してきたが、マックスファクターは平成11年7月以降、原告に対する出荷を停止した。そこで、原告は商品出荷等請求の訴訟を神戸地裁に提起したが、マックスファクター(被告会社)は対面販売条項違反による解除や相当の予告期間を設けた解約を根拠にこれを争った。
 本判決は、「対面販売条項」違反については被告会社が長年、原告の職域販売(カタログを事業者等に送付して電話等でまとめて注文を受けて配達する方法)を黙認してきたこと、平成6年9月以降、原告は職域販売を縮小し、店頭販売を行い、顧客の求めに応じて説明する態勢が一応整えられていたこと、原告が職域販売を中止してから本件解約までに1年が経過していたこと等から、本件解約時点においては、「本契約の基礎にある信頼関係を破壊すると認めるに足りない特段の事情」があるとした。
 また本判決は、「相当の予告期間を設けた解約」につき、被告会社が、原告が全国に支店を開設し、売上高が増大していることから、職域販売と安売り店の広がりを危惧して出荷調整を検討していた事実などの具体的事実を認定した上で、本件解約は「主として原告の各支店における商品の値引販売を阻止する目的で行われたものと推認するのが相当である」とし、「本件解約は原告による商品の値引販売を阻止するのみならず、一般的に商品の値引販売を萎縮させて、その再販売価格を不当に拘束するという結果をもたらし、公正な競争を阻害するおそれがあるから、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の趣旨に照らして公序良俗に違反する」とし、本件解約を無効と判断した。
 そして、原告と被告会社は「本件契約の際、在庫不足等の特段の事情がない限り、原告の商品の注文に対する承諾の意思の内容をしなければならないとの黙示の合意をしたものであるから、特段の事情を見いだすことのできない本件においては被告会社は原告の商品注文に対する承諾の意思表示をすべき義務を負い、被告会社に対し注文にかかる商品の引渡を求めることができる」とした。
以上
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