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2005.11.08 コラム一覧に戻る
成年後見制度の利用について〜「後見」を中心に
1, 成年後見制度とその利用状況について
(1)  知的障害者、精神障害者及び認知症等判断能力が不十分な人たちを援助する制度として、民法の法定後見制度(後見・保佐・補助)と任意後見制度があり、これらをあわせて(未成年後見に対する意味で)「成年後見」と呼ばれています。
「法定後見」とは家庭裁判所が判断能力の程度に応じて、後見人、保佐人、補助人をつけて、その程度に応じた保護をするものです。
「後見」とは、1人で日常生活をすることができない位に判断能力が失われている場合に後見人が選任され、本人の財産管理と身上看護につとめる制度で、後見人に包括的な代理権が与えられます。
「保佐」とは日常の買い物程度は1人できても不動産売買等重要な法律行為には援助が必要な人に対するもので、裁判所が選任した保佐人に、重要な財産行為について同意権と取消権が付与され、必要があれば代理権を与えられます。
「補助」は軽度の認知症等で、後見人や保佐人までは必要ないが、判断能力が不十分なため不利な行為をするおそれがある場合に備えたもので、本人の申立により特定の行為について補助人に代理権を与えることができるという制度です。
これに対し「任意後見制度」はあらかじめ委任者本人が信頼できる任意後見人と委任する事項を決めておき、判断能力が衰えた段階で任意後見を開始する制度です。
(2)  2000年4月から2005年3月迄の成年後見開始審判申立件数(補助を含む)は約7万件です。年々増加していますが、ドイツでの利用件数が約100万件あると言われているのと比べれば利用は少ないとも言えます。
後見人には親族がつく場合と弁護士、司法書士、社会福祉等第三者がつく場合がありますが、「第三者後見人」の比率は全体の約20%であると言われています。
   
2, 成年後見の申立はどのように行うのか
(1) 申立手続の概要
成年後見を申立てようとする場合、@一定の者が所定の書類を添付して、家庭裁判所に申し立て、A調査官の調査、B鑑定を経て、C成年後見開始の審判が行われます。
(2) 申立は誰がするのか
誰が成年後見開始の審判を申し立てることができるのかが問題になります。民法上は、「本人」、「配偶者」、「4親等内の親族」等とされていますが、身寄りのない者にも適切に利用できるよう、「市町村長の申立」が規定されました。
ただ、市町村長の申立は「その福祉を図るため特に必要があると認められるとき」
    と規定されており、これまでは限定的な利用であったとされています。
     また検察官にも申立権が規定されていますが、殆ど利用されていません。
(3) 申立にどのような書類がいるのか
申立の際には「申立書」及び本人の身上、申立に至った事情を記載した「申立書付票」の提出が求められます。添付資料としては申立人の戸籍謄本、住民票、本人の戸籍謄本、住民票、診断書、後見人候補者の戸籍謄本、住民票等必要になります。具体的には何が必要かは家庭裁判所に問い合わせるのが賢明です。
後見、保佐申立の場合は判断能力に関する「診断書」が必要です。
(4) 申立から開始までにどの程度の時間がかかるのか
平成16年度の統計では、3ヶ月以内が全体の51%、4ヶ月以内が67%で、6ヶ月以上かかったのは15%でした。
(5) 申立費用はどの位かかるのか
(ア)  申立の際に裁判所に納める費用としては@収入印紙800円、A登記費用4000円、B郵便切手4300円などがあります。
(イ)  後見・保佐の場合は医師による判断能力の鑑定をする必要があるのですが、費用としては5万円〜10万円程度であると言われています。
この際、申立時の診断書を作成した主治医に鑑定を委嘱することもできますので、承諾を得ておけば鑑定費用が安くなる場合もあります。
(ウ)  医師に申立時に診断書作成を依頼すれば診断書料、申立手続を弁護士に依頼すれば弁護士費用がかかります。
(6) 申立費用は誰が負担するのか
上記の印紙代、郵券代は申立人が負担するのが原則ですが、本人に負担させる場合もあります。

3, 後見人はどのような職務をするのか
(1)  成年後見人の職務には財産管理と身上看護に関する事務があります。
(2) 財産管理
財産管理の内容としては、@預貯金の管理、A収入・支出の管理、B証券等金融商品の管理、C税務処理などがあります。
(3) 身上配慮
成年後見人は財産管理のみならず、身上看護につとめなければなりません。生活・療養看護に関する全般的事項で、@医療に関する契約、A介護等に関する契約、B住まいに関する契約、C施設に関する契約と履行、D教育・リハビリに関する契約などがあります。
ただ、後見人の身上看護配慮義務は「法律行為」に関するもので、現実の介護行為等は職務には含まれません。

4, 費用と報酬
(1) 申立費用、鑑定費用については既に述べたとおりです。
(2) 後見人の報酬
後見人の報酬は保管している財産のなかから審判で決まった額が支払われます。弁護士を後見人として選任する場合には月額にすると、3万円〜5万円程度と言
われています。

5, 支援ネットワーク
兵庫県弁護士会では、高齢者・障害者総合支援センター(愛称:「たんぽぽ」)を設け、高齢者の方や障害者の方の財産管理や生活をサポートする弁護士を紹介しています。
相談予約電話番号は078(341)0550で、受付時間は月曜日から金曜日の午前10時〜12時、午後1時〜4時30分です。

(参考文献)「成年後見の法律相談」(赤沼康弘・鬼丸かおる編著)

以上

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